小町研の日常@しん

小町研にきて早1年,自然言語処理を学び始めたとある学生の日記

小町研を卒業した話

新社会人としての生活も少し慣れたところで、大学時代の研究室を振り返ってみる。

実は久しぶりに記事を書こうと思ったのには理由がある。 最近、ネットの口コミなどのネガティブなバイアスについて考える機会が立て続けに2度あり、みんなネガティブ好きすぎかよ〜と思っていた。 しかしつい昨日、実際に考えさせられる退職エントリを読む事で「やっぱりネガティブの力強いいいい」という感じで私自身も納得させられてしまったのである。

「いやでもポジティブな情報もきっと良いものなんだよなあ」という思いもあり、 私の大学時代のポジティブな振り返りでもしようかなという感じだ笑。

私は、先月(2017/03)に研究室を卒業するまでの3年間、小町研に所属していた。 小町研とは首都大学東京にある小町研究室(自然言語処理研究室)のことであり、私は研究室の2期生である。 この記事では、小町研において、配属前に期待したことと、卒業してみて感じたことを内部の学生目線で軽くまとめる。

もちろん私は小町研を選択して大変よかったと思っているが、これもまたネガティブ側の一意見と同じく、ポジティブ側の一意見である。


小町研に配属希望を出した理由

一言で言えば小町先生に何度かあった時のフィーリングでこの人といたら面白そうだと感じたのが小町研を選択した理由だが、 よくよく考えると以下の3つが理由だった。

  • 先生の経験と能力の高さ
  • 先生の人間性
  • 研究室の環境

それぞれについて配属前に期待していたことと、実際研究室で過ごしてどう感じたかを書く。 小町先生について全く知らない人は、「小町研 武蔵野日記」などと検索すると、先生が娘を育てながら研究室を運営する日記が出てきて、幸せになれるかもしれない(完全にポジティブである)。


先生の経験と能力の高さ

研究室配属の前の時点で、私自身は特別プログラミングが好きだったわけではなく、機械学習パターン認識を授業でやった程度で、言語処理については”げ”の字も知らなかった。 そのため学部3年の途中までは、小町先生のことを”ただの大学の一教員"として見ていて、授業中にやたら小ネタを挟むのがうまい先生だなと感じていた程度だった。その小ネタは、私からするとかなりの自慢話のように聞こえたが、小町先生は毎回それを当たり前のように話すため、(私にとっては凄すぎると感じていたが)ただの小町先生の日常を話してくれているんだなと思えるようになっていった。

後は配属希望の直前に、小町先生と一対一で面談して直接聞いた話や、先生をググった感じで、小町先生がこの業界で何かすごそうなことを肌で感じていた。 配属決定前の小町先生による研究室紹介の説明の時に小町先生がターミナルを開いた場面があり、その入力の早さにCUIってこういう人のためにあるのかと驚いたとを今でも覚えている。 単純にこの人ヤバイなと感じるのと同時に、自分が研究室に配属されたとしてどのくらいできるようになるのか不安も感じていた気がする。

今になってもこのあたりの感覚は変わらず、結局先生はすごい方だったなという感じである笑。 今では20人越えの研究室となっているにも関わらず、一人の教員で全員の進捗を管理し、毎週少なくても一人当たり20分程度は直接状況を確認してくれた。

おそらく大学院生がもっとも力を入れて作成する論文のチェックも細かくしてくれたため、ものすごく勉強になったと感じる。


先生の人間性

おそらく教授になるような人たちは、皆それぞれの分野で相当優れているわけで、実際私自身も研究室選びをする時に何人か気になる教授をググった後に、みんな若いときから経歴や業績が優秀だなと感じた。その結果ググった時点では、小町研でも、i研でも、t研でもどこでもいいという結論になった。

しかし、3年いることになる研究室をサイコロでは決めたくなったため、一応その複数候補の中で最も相談しやすかった小町先生に一対一で面談をお願いしたのである(ここで話しかけやすいと感じていたのが既に分岐点かもしれない)。 その面談で私は先生に、「研究室選びに迷っていること」、「自然言語処理には特別興味がないこと」、「いくつかの研究室には興味があるものの、どこかに特別強い興味があるわけではないこと」などを直接伝えた。それに対して小町先生は「これがしたいならここの研究室」などと詳しく教えてくれていたが、私自身最後までピンとこないでいると、「じゃあ1から研究室を作りたいと思うならうち(小町研)で、先輩に従いつつ研究したいならt研がいいですね!」と最後に今までの相談を全部投げ捨てるような別視点の意見をくれたのである。そこで「あ、じゃあ小町研で」となったのであった。

結局この相談で、小町先生の丁寧で大胆な人柄と考え方に共感できて、この人にならついていけると思えたのが選択した理由だったが、この時の判断に間違いはなかった。 実際先生は人をその気にさせてチャレンジさせるのがうまく、「じゃあ○○君、これやってみますか」みたいな感じで研究やバイトが始まることも多かった。その時は本当にできるか自分で不安になるのだが、アフターケアもあるので全く問題ではなかった。


研究室の環境

私が配属されるのが研究室2期生で、2年目の先輩も3人しかおらず、かなり自由な環境が想定された。それにプラスして配属希望中の段階で研究室の同期もだいたいわかっていたのだが、同期もみんな接しやすそうであった。研究室において、研究する内容もそうだが、一緒にいるメンバーも大事だと思っていたので、この辺りの環境もあって最後は安心して小町研を選ぶことができた。

結局先輩含めてみんな接しやすかったし、毎回周囲のメンバーには本当に恵まれていると感じる(定期的にOBで飲み会をするのが楽しみでならない)。

ただ研究室の環境の話でいうと、所属したての頃は7人だったのだが、今では20人以上であり、人数に関して言うとどちらも一長一短であった。 人数が少ないときは、先生に直接見てもらえる時間が長いと感じていたが、1年経つ毎に小町先生と直接関わる時間は減っていた。そもそも研究室が同じ人数でも1年目と3年目では教えてもらう量や質は違うと思うのでなんとも言えないが…。



そしてこの話は、冒頭の話のようなよくある退職エントリと通じるものがあって、「周りのメンバーや上司と合った/合わなかった」というのは努力次第ではある程度知ることができても、想定外の部分も多いように感じる。

そこでハズレを引いた場合には、コミュニケーション能力を生かして何とかやっていくのも、何らかの手段でそのコミュニティを抜ける/壊すのもその人の自由であるし、その後記事を書くのももちろん自由である。 しかし、記事になるのは、何らかの手段でそのコミュニティを抜けた、離脱者側の生存バイアスがかかっていることも間違いない。

そう考えると、なんとか関係が修復されてハッピーエンドになった人による、退職しなかったエントリも読みたいものだ笑。なおコンプライアンス的な事情は知らない。